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八丈小島  八丈島(4) [島旅]

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八丈島のわずが6km先にある小さな三角の島。

八丈小島

昔は人が住んでいた島だが、1969年(昭和44年)に全島民が移住して以来、無人島になった。

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全員移住が行われる前、ここで先生をされていた漆原先生が書かれた本に、当時の厳しくも素朴な生活の様子が書かれている。

全員離島という選択は、高度経済成長の中、観光化で注目をあびる八丈島とは対照的に過疎化していく中での苦渋の決断だったことが伺われる。
島を離れる直前に、学校の教室の壁に書き残された惜別の詩の話が載っていた。

『五十世に暮らしつづけたわが故郷よ
今日を限りの故郷よ
かい無き我は捨て去れど
次の世代に咲かして花を

ともしびの如く消えさる故郷かな
花咲く色は変りなく
ちりて誰かを待つごとし

朝な夕なと校門くぐる
愛児を待った一本松も いまや背丈を高くして
時をながめて松ばかり

我が母校 今日を限りに我は行く
かわりゆく世の嵐の風に吹きおとされた我が母校
さびしかろうが待っていて 変る人間のつく迄に
我れ行けど 心のこりし南の花 愛児愛した菊の花
時を忘れず咲いてくれ』


と赤いペンキで書かれていたそうだ。
ジーンと心に染みる... 深く考えさせられる詩だ。

八丈小島の移住が行われた次の年、トカラ列島の臥蛇島でも全員移住が行われ、無人島になった。
離島に限らず地方を活性化するためには、無駄に立派な道路や箱物への公共投資ではなく、地方にいても不便なく暮らせるための、ナショナルミニマムのためのインフラ整備をすべきなのだが... 縦割り行政、紐付きの財源(補助金、助成金や交付金)... なかなか有効に使われない....。


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コメント 4

momomo

島酔さん、こんばんは。

胸をうつ詩ですね。
島に住んでいなければ絶対に書けない…。

助成金や交付金の活用はほんと難しいですね。
出し方も問題だし、たとえ紐付きであっても、
どう活用できるかは地方行政の能力次第になりますもんね。
公務員の能力を高めないとほんとにヤバイです。
by momomo (2012-12-03 04:29) 

異邦人

~☆ 島酔潜人さんへ ☆~
虚しい気持ちですね。
この八丈小島行くことは出来るんですか。
五・七調の惜別の詩にメロディーを付けて
この島をもっと知ってもらいたいですね。
by 異邦人 (2012-12-03 09:11) 

島酔潜人

>>momomo-san

心に染みる詩ですね。
大切な税金、有効に使ってもらいたいと思いますが、それができない仕組みが出来上がっているんですよね。
by 島酔潜人 (2012-12-03 23:47) 

島酔潜人

>>異邦人-san

無人島になってしまったので、定期船はありません。
ちょっと切ない詩ですが、後世に語り継がれていく歌になりそうですね。
by 島酔潜人 (2012-12-03 23:50) 

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