孤愁(サウダーデ) [阿波のこと]
新田次郎は、『サウダーデ』というポルトガル語を、
孤愁
という日本語に置き換えた。
1980年に亡くなるまで毎日新聞に連載されていた同名の小説は、明治~大正期の日本の美しさを欧米に紹介し、日本の風土を愛し、日本の女性を愛し、徳島で生涯を終えた、ポルトガル人外交官、
モラエス
の半生を描いたもの。
日本を愛しながら、故郷のポルトガルへの哀惜の念を抱き、遠く異国の地で孤独に幕を閉じた彼の生涯を、孤愁(サウダーデ)という言葉で言い表した。
13年前(1999年)、『孤愁』が再版されたとき、それが新田次郎の絶筆とは知らずに読んだが、それは未完の作だった。(画像の水色の上下巻)
その後、息子の”藤原正彦”さんが、その遺志を継いで続きを書くということを知った。
首を長くして待ち続けていた本が、昨年末やっと世に出た。
亡き父が、取材のために歩いたポルトガルや徳島の地を何度も歩き、残された取材ノートを頼りに....親子とはいえ”新田次郎”の小説の続きを書くということは、そうとうな苦労があったことと思われる。
32年越しの親子の共同作品、藤原正彦さんの悲願がやっとかなったようだ。
今度、徳島に里帰りしたら”モラエスゆかりの地”を歩いてみようと思う。
画像に写っている陶器の皿は、ポルトガルで買った、”オリーブ入れ”、種を捨てるところが分かれているところが気に入っている。
阿波と五島のコラボ [阿波のこと]
”うどん県”のお隣の徳島は、当然ながら蕎麦よりもうどん。
その中でもめずらしい食べ方が、
たらいうどん
要するに釜揚げうどんの、たらい版。
先日、実家に帰ったとき、『五島うどん』をたらいうどんにして食べてみました。
本来なら、”じんぞく(カワヨシノボリ)”の出汁を使うところ。
祖父がいた頃は、川で獲ってきた”じんそく”を竹串に刺して、焼いてから出汁をとってました。
これがけっこうな手間...
さすがに、そこまではできなかったので、五島の”アゴ出汁”を使いました。
『五島うどんのたらいバージョン』、実家でも大好評でした。
そう言えば、何十年ぶりかで、
イタドリ
を食べた... 私は塩をつけて食べます。
山の果実 [阿波のこと]
桜の花が満開の徳島の里山、やっと梅の果実が膨らみだしました。
これは
グミの花
私の田舎では、『しゃしゃぶ』と呼んでいます。
夏前には赤い実がなります。
子供の頃食べた、ちょっと渋い味がなつかしい。
これは、近くの神社の参道で見つけた、
アケビの花
秋に、収穫に帰って来れないのが残念です。
里山の果実が実る季節になってきました。
ふるさと [阿波のこと]
River Beachcombing - みみご石の謎 - [阿波のこと]
(青い石の上に置いた”みみご石”)
子供の頃よく遊んだ河原は、『阿波の青石』と言われている”緑泥片岩” が多い河原。
運がよければ、名石として知られる”神山五色”、”梅林石” 、”マンガン鉱”なども拾える。(運がよければですが)
台風で川が増水した後は、よく探した。
”隕鉄”を拾った人もいるらしい... 石&鉱物マニアにとっては宝の山(河原)なのかもしれない。
今日11月14日は、「いい石の日」 ....久しぶりに故郷の河原で拾った石は、
みみご石
ここでは、そう呼ばれている。
(お不動さんに”みみご石”を奉る)
子供の頃、この石を拾うと近くのお不動さんにお供えし、耳がよく聞こえるようにと願をかけた。
調べてみると、これは上流の銅山で出たカラミ(銅を精錬する時に出る不純物の塊)が流れ着いたもののようだ。
子供の頃からの謎がやっと解けた。
いつから「みみご石」と呼ばれるようになったかは知らないが、この風習は伝えていきたい。
ちなみに、河原歩きは”足ツボマッサージ”にもなり、”平衡感覚”も養われてとっても健康にいい。
どうやら、僕のビーチコーミングの原点はここにあったようだ。