The Mail boat from Saint Kilda [海、島の本]
(St. Kilda)
先日、たまたま見つけた、『英国セント・キルダ島の何も持たない生き方』。
セント・キルダ島(Saint Kilda)
について書かれていた本だった。
スコットランド、ノース・ウイスト島の西約65キロに位置し、群島全域がユネスコの世界遺産に指定されている。
その本には、有史以来固有の文化を持ち、自給自足しながら力強く自立して生きていた島民の姿が描かれており、本土の経済発展の影響を受け、観光地化し、人や病気が流入し、経済的な問題から全員離島せざるおえなくなった歴史が綴られていた。
Mail boat
驚いたのは、緊急連絡にMail boat(メールボート)と呼ばれる木製のおもちゃのような船を使っていたこと。
(メールボートを流しているところ)
手紙を封印したココアの缶を木製のボートに入れ、羊の膀胱で作ったフロートを付け、島から流すというもので、島が飢饉に陥った時に、遭難信号として流したのが始まりだそうだ。
メールボートは、メキシコ湾流の乗って、数週間でスコットランドや北欧に流れ着いていたそうだが、なんと気の遠くなる話だろう。
私の周りには有り余るほどの物が氾濫し、必要以上に便利になってきている。
最近は、生産性の無い空虚な経済活動が、まるでバーチャルなゲームのようにクルクル回っているような気さえする。
ほんとうに必要なものは何か、便利になることによる人間の能力の退化... そんなことを考えさせられる一冊だった。
島酔さん、こんばんは。
へえー、Mail Boatなんてちっとも知りませんでした。
島酔さんは読書家だし、いろいろなことを知っていますねー。
学ばないと。
by momomo (2012-03-12 01:49)
>>momomo-san
究極の、ビーチコーミングアイテムですね。
いえいえ、momomoさんの知識にはかないません。
私の読書は、興味がわいたら乱読&かなり偏っています。
by 島酔潜人 (2012-03-12 07:52)
考えさせられます。
こういう生活は原始的でもっと近代的にならなくてはならない、というのが当たり前のようにこれまで生きて来たのですよね。でも、そうじゃないみたいです。
by carotte (2012-03-12 09:40)
>>carotte-san
近代的になることが幸せとは限らないという、典型的な例を見たような気がします。
映画、『デルスウザーラ』にも共通する課題です。
by 島酔潜人 (2012-03-12 11:06)
~☆ 島酔潜人さんへ ☆~
確かに気の遠くなるような話ですね。
でもMail Boatで飢饉を遭難信号として流したとは!
届くものなんですね。
「英国セント・キルダ島の何も持たない生き方」読んでみたいですね。
by 異邦人 (2012-03-13 21:50)
>>異邦人-san
海流のおかげだと思いますが、それを拾ってくれないことにはダメですよね。 ちょっと考えさせられる本でした。
by 島酔潜人 (2012-03-13 21:56)