凍 - 沢木耕太郎 - [晴潜雨読]
たまに、考えることがある。
すべての欲望やしがらみを捨て、好きな事ができたらいいなって!
でも、仕事を捨て、家族の犠牲を払ってまで、人生をかける自信があるのかって?
そんなものが自分にもあるのかって?
そこには、どんな幸せが待っているのだろう?
昨日、沢木耕太郎の 「凍」を読み終えた。
最強のクライマー、山野井夫妻(泰史、妙子)のギャチュンカン(ヒマラヤの難峰)への、壮絶な挑戦の記録だ。
生還したとは言え、重度の凍傷になり大きな犠牲を払うことになる。
結局、妙子さんは、手足の指を18本失ってしまう。
それでもなお、明るくポジティブな二人に、感動というより、常識では計り知れない大きな力を感じてしまう。
生活の安定や地位を求める社会構造の中、地位も名誉も富を求めず、山登りだけにかける人生はある意味うらやましい。
久しぶりに読み応えのある本だった。
初めて手にした沢木耕太郎の本は、深夜特急だった。
彼の文章は、空気のように本人の存在を感じさせない。
のどごしの良いビールのようだ。
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