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南嶋探験 (笹森儀助) [海、島の本]

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ヒカゲヘゴ

西表島の杜の中には、こんな大きな羊歯(シダ)の木がある。
初めて見た人は、『ジエラシックパークのようだ』と言う。
まだまだ、原始の風景が残る西表島。

今から120年前(1893年)、沖縄の島々の実情や農業、産業などを調査するために、西表島を訪れた探険家がいた。

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笹森儀助

彼が書いた、

南嶋探験

によると、彼は2日間かけて西表島を東から西に横断している。
仲間川をくり舟で遡り、途中雨に降られ、道に迷い、転んで手や足に怪我を負い、ヒルに悩まされながら野宿をし、道無き山の中を仲良川の上流まで達し、たまたまやってきた漁師の船で川を下り、祖納村まで戻ってきた... のような事が書かれていた。

カマイ(イノシシ)猟に同行して、何度か西表島の山の中に入ったことがあるが、写真のようなかっこうでハブが住むジャングルの中を歩くなんてとても信じられない事だ。

この時は55日間かけて、沖縄本島、慶良間諸島、宮古島、石垣島、西表島、与那国島、の村々を訪ねて回り、その様子をこの『南嶋探験』という本に著した。
交通手段もままならないこの時代に、この短期間でよくここまで詳しくまとめたものだと驚く内容。
ただ、文語体で書かれているのでとっても読みにくい... 誰か口語体に訳してくれないかなぁ~。

彼は、その後、奄美大島の島司を4年、そして地元の青森市長も務めている。

この本の『緒言』に下記のような事が書かれていた。

『国ヲ守ルト家ヲ守ルト個ト一理ナリ。人ノ家宅ヲ占ムルヤ周囲必ラズ垣ヲ結ビ、表裡必ラズ門戸ヲ作リ、門戸必ラス菅錀(くわんやく)ヲ施シ、以テ盗賊ノ入ルヲ防ギ、以テ家族ノ安寧ヲ保ツ。今我国ノ形勢ヲ観ルニ四境ノ防備果シテ全キヲ得ルカ、門戸果シテ菅錀アルカ、清夜観念スレハ説ヲ持タズシテ悟ルモノアラン。』

国を守ることは家を守ることと同じとし、当時の日本の防衛を憂いている。

今日、安部さんは所信表明演説の中で、『領土・領海・領空や主権に対する挑発が続く外交・安全保障の危機...』と言っていたが、具体的には何も語らなかった。
今、日本が取り組まなければならない最も重要な課題だと思うのだが....


 

南嶋探験 1―琉球漫遊記 (東洋文庫 411)

南嶋探験 1―琉球漫遊記

  • 作者: 笹森 儀助
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1982/07
  • メディア: 新書
辺境を歩いた人々

辺境を歩いた人々

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
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  • メディア: 単行本

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コメント 4

異邦人

~☆ 島酔潜人さんへ ☆~
国を守ることは家を守ることと同じ。
そうですね何事も原点に返ることが必要ですね。
未知の島を探検したとは凄い人なんですね。
by 異邦人 (2013-01-29 08:32) 

島酔潜人

>>異邦人-san

マラリアやハブの危険もあり、帰ってこられないことを覚悟しての調査だったようです。 それもしても、120年前にこんな人がいたなんて驚きですね。
by 島酔潜人 (2013-01-29 14:47) 

momomo

島酔さん、こんばんは。

ご無沙汰です。元気ですか。
笹森儀助の探検はいろいろな意味で、
南の島を助けることにつながったのでしょうね。
それにしても裸足同然であの森を歩くとは…。
最近はヒルも見かけないですけどね。
by momomo (2013-02-01 02:36) 

島酔潜人

>>momomo-san

快復、おめでとうございます。
”笹森儀助”さんは、貧困と悪税に苦しめられている南方の人たちのために、人頭税の廃止を訴えたり、教育や産業に寄与したようです。
よく、あの装備で野宿しながら島を横断したものです.. すごすぎますね。
by 島酔潜人 (2013-02-01 16:40) 

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