孤愁(サウダーデ) [阿波のこと]
新田次郎は、『サウダーデ』というポルトガル語を、
孤愁
という日本語に置き換えた。
1980年に亡くなるまで毎日新聞に連載されていた同名の小説は、明治~大正期の日本の美しさを欧米に紹介し、日本の風土を愛し、日本の女性を愛し、徳島で生涯を終えた、ポルトガル人外交官、
モラエス
の半生を描いたもの。
日本を愛しながら、故郷のポルトガルへの哀惜の念を抱き、遠く異国の地で孤独に幕を閉じた彼の生涯を、孤愁(サウダーデ)という言葉で言い表した。
13年前(1999年)、『孤愁』が再版されたとき、それが新田次郎の絶筆とは知らずに読んだが、それは未完の作だった。(画像の水色の上下巻)
その後、息子の”藤原正彦”さんが、その遺志を継いで続きを書くということを知った。
首を長くして待ち続けていた本が、昨年末やっと世に出た。
亡き父が、取材のために歩いたポルトガルや徳島の地を何度も歩き、残された取材ノートを頼りに....親子とはいえ”新田次郎”の小説の続きを書くということは、そうとうな苦労があったことと思われる。
32年越しの親子の共同作品、藤原正彦さんの悲願がやっとかなったようだ。
今度、徳島に里帰りしたら”モラエスゆかりの地”を歩いてみようと思う。
画像に写っている陶器の皿は、ポルトガルで買った、”オリーブ入れ”、種を捨てるところが分かれているところが気に入っている。
~☆ 島酔潜人さんへ ☆~
あっこの「孤愁」持ってます。それも第一刷です。
昭和55年に文藝春秋から発売されたものです。
もう一度読んでみようかな。
そしたら異邦人のブログにも掲載したいです。
by 異邦人 (2013-01-23 18:52)
>>異邦人-san
初版本持っているんですね... さすがですね。
たぶん初版本は、最終章が、”無題”となっているのでは?
今回の共著版では、その”無題”が、”日露開戦”という章になり、その後の章からが、藤原正彦さんが書かれたものになっています。
by 島酔潜人 (2013-01-23 21:01)